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日本経営倫理学会

役員コラム「経営倫理の窓から」

サステナビリティ経営推進の新たな取り組み ~"危機感を煽る"から未来の責任を担う大人としての"未来デザイン"へ~ (監事 長谷川浩司)

 最近、若者の間でSDGs疲れ、サステナビリティ疲れが広がっている。 2026年2月に開催されたサステナビリティブランド国際会議の場で、高校生からこのような発言を聞いて驚いた。その後も高校生、大学生、卒業間もない多くの若者からこのような言葉を聞くようになった。
 かく言う私も、思いは同じである。 長年にわたり、大企業をはじめ、中堅・中小企業に対して、経営トップ、役員が揃う経営会議、部長クラスも参加する全社セミナーなどの場で、サステナビリティ経営の必要性を全身全霊込めて語ってきた。 しかし、残念ながら、会議後の雑談では出席者の本音が出る。自分達の時代は大丈夫でしょう?と。
 このような現状を変えるのは若者しかいない。そう考えて、私は、大学の教員に職を変えた。 ところが、若者も疲れていたのである。 若者が情熱に燃えて、いくら必死に取り組んでも、"大人達は何も変わらない"と感じているのだろう。
 よくよく考えてみると、大人達の発言に問題の核心が潜んでいる。危機情報を提示するだけでは、自らの行動との接点が見出せず、自分ごととして捉えにくい。その結果、無力感や諦めが生じ、「疲れ」として表出する。 すなわち、その背景には、未来を考えることが十分に習慣化されていないという問題がある。また、そのような教育も受けておらず、手法も知らないことに問題の本質があると気づいた。
 近年、注目されているのが、社会学から発展したフューチャーデザインという学問領域である。また、そこから将来世代の立場に立って意思決定を行う思考法・対話手法が生み出されている。
 地球温暖化が進行して2100年には平均気温が4℃上昇するといくら危機感を訴えても、将来世代への責任や将来の社会デザイン手法を学んでいなければ、脳のメカニズムへのインプット情報として処理されない。いくら危機を煽ってもフェイクだと言う人が現れる所以である。
 そこで、問題解決に向けて取り組むべき課題は、フューチャーデザイン手法を広めることだということがようやく分かってきた。 これは、将来世代への責任という観点からも、経営倫理の根幹に関わる課題である。これから、学会員皆様の賛同や協力を得ながら、 2030年を目標にフューチャーデザインの浸透に取り組んで参りたい。

2026年5月1日
(福井工業大学経営情報学部教授)

役員コラム「経営倫理の窓から」

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