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日本経営倫理学会

水谷雅一賞

第2回(2022年度)

第2回水谷雅一賞審査結果について

第2回水谷雅一賞選考は、第1回の枠組みを踏襲して「論文・ジャーナル」及び「書籍」の2部門で実施した。委員による審査を経て第2回水谷雅一賞受賞者決定まで5ヶ月間を要した。なお、奨励賞は審査の結果、今回「優秀賞」に次いで高評価を得た候補に授与された。
<論文・ジャーナル部門>(敬称略)
 優秀賞:杉本俊介 「組織の徳倫理学」、学会誌29号
 奨励賞:櫻井功男・青沼愛・林順一 「ソーシャル・オーディットに関する一考察」、『サステナビリティ経営研究』第2号
<書籍部門>(敬称略)
 優秀賞:井上泉(著)『企業不祥事とビジネス倫理-ESG、SDGsの基礎としてのビジネス倫理-』、文眞堂。
 奨励賞:松田千恵子(著)『サステナブル経営とコーポレートガバナンスの進化』、日経BP社。
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●<優秀賞論文及び優秀賞書籍の講評(概要)>
論文・ジャーナル部門:杉本俊介氏「組織の徳倫理学」について
ビジネスにおける個人の「徳」の限界をもとに、組織の「徳」という新しい視点を提起し、組織不祥事を倫理的に評価する枠組みを提案している。この視点、枠組みはユニークかつ興味深く、新しい学術的視座を提供しうる。今後の経営倫理の研究の発展に貢献しうると評価する。

書籍部門:井上泉氏『企業不祥事とビジネス倫理』について
日本で起こった7つの企業不祥事について、公開資料にもとづき、問題の所在など、丁寧に解説し、個々の不祥事の内容を知るうえで貴重な資料となっており高く評価する。特に第Ⅰ編の「ビジネス倫理と人の仕組み」と、第Ⅲ編の「日本のコーポレートガバナンス」では関連する主要事項を網羅し、簡潔にまとめてある。企業不祥事を未然に防ぐための経営倫理教育のための重要な教材となろう。著者は実務家ながら永年にわたり、不祥事対策を研究しており一定の学術的水準のもとに実務界にも裨益する内容である。

水谷雅一賞実行委員長・理事 岡部 幸徳(帝京平成大学 教授)