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日本経営倫理学会

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2011年度活動報告

2011年はなんと言っても3月11日に起こった東日本大震災を語らずしては始まらない。この地震と福島第一原子力発電所を襲った津波の災害による電力不足など、日本全体の活動が大きな衝撃を受け、変化を余儀なくされた年となった。相次ぐ余震と放射能汚染への不安から、多くの外資系企業が駐在員を帰国させたり、関西地方へ本社を仮移転させたりする事態がつづき、外国からの観光客も激減する状況となった。東日本大震災は日本の国際交流を語る上でも大きな転換点となった。

そうした中で2011年度の国際交流活動を要約すると以下の様であった。

例年のように8月12日〜16日の会期でSBEおよびAOMの年次大会が、テキサス州サンアントニオ市で開催され、企業倫理関係では約10名程の日本人参加者があり、小山、出見世、水村各会員の発表がSBEで、梅津副会長、西藤常任理事の発表がAOMで行われた。会場では東日本大震災の事柄やその後の状況等の質問が多く出され、アメリカにおけるこの問題への関心の高さが感じられた。

9月17日には慶應義塾大学訪問研究員として来日中のヴァージニア工科大学教授リチャード・ウォークッチ氏による講演会が行われた。日本の自動車産業およびそこでの労務管理に関心をお持ちのウォークッチ教授はその後も日本に滞在され、かんばん方式と過労死の関係など精力的にリサーチをされた。また9月24日に開催された復興構想インターゼミナールにも参加され、日本に於けるゼミ教育に対して高い評価と関心をしめされた。

12月21日〜23日にかけて高橋会長と文理事が韓国ソウル大学を表敬訪問され、韓国経営倫理学会会長の朴ウォンウー会長、および白キボック次期会長と会談した。この場で2012年11月8〜9日に日韓経営倫理協同シンポジウムを開催することが協議された。

12月26日には国連PRME第2回アジア・フォーラムが中国北京市の清華大学で開催され、日本からは梅津副会長が参加した。中国におけるPRMEへの関心は高まりを見せており、清華大学ビジネススクール学生による発表や、その後もたれた大学院教員によるセミナーでは様々な新しい取組みが紹介された。日本におけるゼミ教育や企業との共同研究などを紹介したが、中国における国際的な視野に立った経営教育、あるいは経営倫理教育はアジアのリーダーとしての自覚をもって、国策として取り進められており、海外からの留学生数や教授陣の豊富さ、カリキュラムの柔軟さ、そして何よりも学生達のモチベーションの高さについては日本の大学、大学院も見習わなくてはならないと感じざるを得ない。

経営倫理学における日本の優位も、ここ数年で縮小してしまい、GDPのみならず経営倫理教育の面においても韓国や中国の台頭がめざましくなってきていることを印象づける機会と成った。 (文責:JABES国際委員会委員長 梅津光弘)