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日本経営倫理学会

役員コラム「経営倫理の窓から」

理論と実践が求められる、企業の競争戦略とSDGs(理事 笹谷 秀光)

 ESG投資が大きなうねりを見せ、E(環境)、S(社会)、G(企業統治)の実践としてSDGsを経営に実装することが求められています。しかも、ウィズコロナ、気候変動、ウクライナ侵略・中東情勢など「混迷」の時代の世界的変化を見極めつつ、スピード感を持った変革が求められます。
 今やSDGsを活用する経営の「具体的成果」を出す段階に入りました。SDGsをはじめとして、サステナビリティが企業にも必須の価値観になり、カーボンニュートラル、サプライチェーン管理、人的資本といった課題も次々と生まれます。
 このような激動の時代に企業はどう生き抜くか。悩んでいる経営者やビジネスパーソンが多いのが現状ではないでしょうか。
 筆者は、行政(農林水産省・外務省・環境省)、ビジネス(株式会社伊藤園取締役他)、研究・教育(学会、千葉商科大学)という「産官学」すべてを経験させていただき、現在、千葉商科大学教授として同大学の「サステナビリティ研究所長」も務めています。
 このような経験を通じ、サステナビリティの推進には、理論と実践の両方が重要だと実感します。理論に即して実践し、実践結果の評価からさらに理論を進化させるのです。
 日本経営倫理学会は、論文投稿や発表の場を幅広く提供しています。筆者も学会活動で、理論面では、企業のSDGs経営支援ツール「ESG/SDGsマトリックス」を提唱し、書籍などで発信してきました(最新刊をご参照ください)。このツールを使い、新しい企業価値の創造と社員のモチベーション向上を狙います。
 また、実践面では、筆者が実行委員長を務めている、「未来まちづくりフォーラム」があります。SDGsによる「協創力」や官民連携をテーマに、これまで関係8府省等の後援名義をいただいて5年にわたり実施してきました。2024年2月14-15日に第6回目が行われます。現在準備中で、告知サイトもできました。
 次から次へと外国発のルールが持ち込まれる「アルファベット・スープ時代」です。変化の中での本質の見極めの難しさを改めて感じます。
 その中で、企業は、ESG投資にも、SDGsへの要請にも応える必要があります。サステナビリティに向けて、企業では、経営倫理に万全を期しながら遂行する競争戦略が欠かせません。他社と差別化したブランディングにつなげることも必要です。
 今後とも、皆様とともにサステナビリティについて理論と実践を深めていきたいと思います。
 (千葉商科大学教授、サステナビリティ研究所長)
 2023年11月5日

役員コラム「経営倫理の窓から」