新春のお慶びを申し上げます。
今月は、1月29日(水)13時より、第13回経営倫理シンポジウムが催されます。本学会副会長である葉山 彩蘭先生のご尽力により、新築なったばかりの素晴らしい淑徳大学東京キャンパス9号館にて開催が適うこととなりました。
今回は、「コーポレートガバナンスの実質化とボードダイバーシティの確保が企業に与える影響」と題しまして、キリンホールディングス株式会社代表取締役会長であり、日本取締役協会副会長でもいらっしゃる磯崎 功典氏に招待講演を頂くことになっております。また、本学会会員である井上 泉先生(ガバナンス研究部会長)、林 順一先生(シンポジウム実行委員)、浜辺 真紀子先生にもご登壇頂くほか、三菱商事株式会社 コーポレート担当役員 小林 健司氏、インベスコ・アセット・マネジメント 運用本部 日本株式運用部 ヘッド・オブ・ESG 古布 薫氏などの実務の最先端で活躍するゲストの方々もお迎えし、豪華な顔ぶれによるパネルディスカッションなども予定されております。皆様にはぜひ足をお運び頂きたく、本シンポジウムの趣旨について若干ご説明させて頂きます。
2015年にコーポレートガバナンス・コードが導入され、既に10年が経過しました。会社法改正なども検討され、2025年はコーポレートガバナンス分野にとって新たな周期の始まりとも言えます。既に一昨年より、東京証券取引所による企業価値向上への強い要請など、コーポレートガバナンスの主眼は、表面的な監督強化から実質的なマネジメントの改革へと、注力すべき分野やその水準も変わってきました。そうした中では、将来の経営を巡る意思決定がより重要となってきます。企業の将来を決めるような意思決定に際して取締役会は十分機能しているのか、多様性を持った人材が関与できているのか など論点も多い状況であり、学術的にも実務的にも関心の高い分野となっています。
また、こうしたコーポレートガバナンス分野は従来から、企業と投資家間の関係の問題なのか、広くステークホルダーの存在する社会と企業の問題なのかといった点、さらには企業の経済的な価値向上を目指すという効率性の問題なのか、社会や企業の公正性を高めるという倫理問題なのかといった点についても、様々な論点を提起しています。サステナブルな経営が標榜される一方で、 名だたる企業において不祥事が相次ぐような状況もある中で、こうした論点について現状を整理し、将来への視座を確認する重要性は日増しに高まっています。日本経営倫理学会としては、こうした認識のもと、コーポレートガバナンスとそれを支える多様性のありかた、経営倫理との関係について、この節目の時期に改めて考察することは重要な使命と考え、本シンポジウムを実施するものです。 学会員以外の一般参加も大歓迎です。関係各位へご案内・ご参集賜りたくよろしくお願い申し上げます。
2025年新春
第13回経営倫理シンポジウム実行委員長
東京都立大学大学院 経営学研究科 教授