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日本経営倫理学会

役員コラム「経営倫理の窓から」

GBAS Tokyoの開催―日本の経営人類学研究会のネットワーク(常任理事 村山元理)

 グローバルビジネス人類学サミット(Global Business Anthropology Summit)が東京の中央大学茗荷谷キャンパスを舞台に2025年6月14-16日に開催された。大阪の民俗学博物館において、1994年に経営人類学研究会が民博の中牧弘允と京都大学の日置弘一郎によって誕生し、経営学者や宗教学者なども巻き込んで研究会が継承されてきた。
 中牧の弟子である八巻恵子(就実大学)が持つ国際的ネットワークから日本開催が求められ、「神話と現実」をテーマに初のアジア開催となった。岩井洋(手塚山大学)を実行委員長、砂川和範(中央大学)が主催校、中牧を顧問格として、中牧の弟子のマリア・ヨトヴァ(立命館大学)、鷲見敦(明治大学)と私が実行委員となった。
 宗教とビジネスに関心が深い私は下記のセッションを企画した。
 初日の午後のセッションⅢの「修験道の修行と経営」(丸和運輸機関会長・和佐見勝)、「経営道と何か」(日本経営道協会会長・市川覚峯)では、経営と心の道の関係性という日本独自の経営研修・思想が紹介され、コロンビア人、ドイツ人、アメリカ人、フランス人、インド人なども参加した。
 2日目の基調講演では、浄土宗の築地本願寺を僧侶兼ビジネスマンとして改革したことで著名な安永雄彦氏に英語でのご講演をいただいた。伝統仏教の旧態依然たる組織を対象に、近代的なビジネスの手法を援用してブランド作りから広告・営業、ターゲットの特定まで考えぬき、著名寺院の集客戦略において成功した。ただご本人は実存的な意思から僧侶となったものであり、ビジネス的改革はおまけの出来事であった。ご講演では仏教思想の紹介もあり、経営者や働く人間に精神的な土台が必要なことが説かれた。
 2日目セッションⅢでは桜庭大輔氏や明治大学の奥山雅之先生よりZESDAの取り組み=グローカルビジネスが報告された。桜庭氏は高級官僚+地域貢献事業というパラレル・キャリアでProducershipという新コンセプトのもと産業振興に関わっている。瀬崎真広、八木温子両氏も含めての発表で英語による膨大な情報発信であった。
 セッションⅠでは大学生起業をテーマに大橋星南(セナの旅)氏、安田応彦氏が特異な創業ストーリーを英語で発表。安永氏から唯一のオーディエンスとして温かいアドバイスを頂けた。
 3日目は東京見学ツアーで19名参加。会議全体では合計124名(海外36名)が集まった。
 手前味噌の紹介だったが、詳しくはGlobal Business Anthropology Summit - Tokyo - GBAS-TOKYOをご覧ください。(文中一部敬称略)

(駒澤大学教授、博士(商学)、当学会理念哲学研究部会会長、学会誌編集・論文審査委員)
 2025年7月20日

役員コラム「経営倫理の窓から」

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