世界各国で教師の日を祝う国は多くあります。タイは1月16日、アメリカは5月の第1火曜日、韓国とメキシコは5月15日、インドは9月5日、中国は9月10日、アルゼンチンは9月11日、台湾は9月28日に「教師の日」が制定されています。この日になると、学生が教師に感謝の意を示し、プレゼントやカードを渡すことが多い。また、UNESCO は10月5日を「世界教師デー(World Teachers' Day)」として定め、教師の重要性と教育への貢献を国際的に称える日にしています。私は毎年9月28日台湾の教師の日に、台湾の教育関係者から「教師の日おめでとう」というメッセージをもらい、とても幸せな気持ちになります。
多くの国々が「教師の日」を設け、教育現場における教師の役割や責任の重要性を社会全体で認識し、感謝と敬意を示す機会としています。しかしながら、先進国の日本には未だ「教師の日」が存在しません。こうした状況は、教育における倫理意識を高めるための一助となる機会が不足しているとも言えます。教育は次世代の基盤であり、その中核を担う教師は、生徒や学生、さらには社会全体にとって非常に重要な役割を果たしています。
今日、日本の教育現場では、性犯罪、いじめ、セクハラ、パワハラといった深刻な問題が多発し、教育の信頼性が揺らいでいる現状があります。教育現場におけるこうした不祥事は、生徒や学生、保護者、そして社会全体に大きな影響を与え、教育の質を根本から損なう危険性があります。こうした状況を改善するためには、教師と教育機関における倫理教育の強化が急務です。教育現場の倫理意識向上に向けた具体的な一歩として、「教師の日」を創設することを提案したいと思います。教師の日を祝うことで、社会から教師に対する敬意や感謝が示される一方で、教師が持つ役割や責任も再認識されます。教師自身も自己の行動や職業倫理に対する意識を再確認する機会となり、ハラスメント防止に役立つ可能性があります。
教師は学生にとって、人格形成や倫理観の手本となる存在です。教師の日を設け、教師が自己の倫理意識を高めることにより、学生が社会の中で尊敬される人材へと成長するための指針を示すことができます。教師が高い倫理意識をもって行動することで、次世代に向けた誠実な人材を育成する土壌を築くことができます。
多くの国で教師の日が制定され、教師と教育の価値が社会的に認められています。日本でもこうした国際的な流れを参考にし、教師と教育に関わる社会的責任を強調する「教師の日」を創設することで、日本の教育が健全な環境に向かって進化する一助とすることができます。また「教師の日」の創設は、教育現場における倫理教育の充実と、教師が誇りを持って職務に臨むための環境づくりに貢献します。日本の教育現場の信頼回復と倫理意識の再確認を目指し、教育が社会全体で支えられるべきものであることを明示するため、教師の日の創設と推進を提言したいと思います。
近い将来、大学のキャンパスで、「教師の日おめでとうございます」という声が聞こえるように心から期待しています。
(淑徳大学経営学部 教授)
2024年11月10日