日本経営倫理学会(JABES)は、研究法ワークショップ(WS)第1回をコロナ禍の2020年8月にオンラインで初めて開催した。その後も毎年8月の土曜日に開催しており、2022年度から対面とオンラインでWSを開催している。本年度から当ワークショップはJABESの委員会の一つとなり、第4回WSを開催することができた。
当WSは、学術論文を書きたいという、実務家会員の要望に応えてスタートした。また、経営倫理実践研究センター(BERC)会員企業と経営倫理士協会(ACBEE)会員に参加を呼び掛け、JABES、BERC、ACBEE による三位一体活動の一環と位置付けられた。現在では、実務家会員のなかでも大学院博士課程の学生が増えている。当WSは若手研究者育成研究部会とともに、JABESにおける若手研究者育成の一端を担っていると考える。
毎回のWSでは、午前中に第1部として学術研究の概要、第2部では研究倫理に関する定番の講義を実施している。午後は、第3部で大学教員による座談会を開催している。質の高い論文、査読審査のポイントなどをテーマとしてきた。第4部と第5部は当学会誌に掲載された査読付き論文の著者が掲載論文についての解説を行い、その後に質疑応答を行っている。WS終了後には懇親会を開催し、会員間の交流の場としている。
2024年度は新たな取り組みとして、第4部と第5部で「英語論文に挑戦」というテーマで、2名の学会員に登壇いただいた。一人は海外トップジャーナルに査読付き論文が掲載され、もう一人は英語論文が当学会誌に掲載された実績がある。2名の講演を通じて、参加者は英語で論文を書くことにより、世界中の研究者とのネットワークが広がる可能性を認識した。また、主催者としても、当学会誌に英語論文掲載が増えることにより、JABESの国際的な認知度が高まることを再認識した。
過去5年間、毎年着実にWSを開催できたのは、理事会のサポート、登壇いただいた理事と会員の皆様、熱心な学会員の参加があったからである。また、当初から同じ志でWSを推進いただいた高野一彦常任理事と、現委員の斎藤悦子理事のご尽力に感謝申し上げたい。また、JABESのWSが他の学会でも認識され、当WS同様な取り組みを検討しているという話も聞くと、今後もJABESにおいてWSを継続する価値があると考える。
来年度以降は新たに選出される理事によってJABESは運営される。新理事会にはWSの継続とさらなる質の向上を推進していただきたい。当WSがJABESの研究活動の質をより高めることに貢献することを期待したい。
(法政大学大学院政策創造研究科 教授)
2024年12月10日